ギターの想い出 新章:ツアー編 その3

沈黙が意味するのは大抵ネガティブな感情だ。恐怖、怒り、無関心。
静、それも発露のひとつ。

とか、文学的なことはいいとして、車内には恐怖が蔓延していた。
見えない、というのはおそろしい。ホントに怖い。しかも、止まることもできないのだから。

特に高速道路上では一瞬の判断が命取りなのだ。
見えない上に速度はある程度キープしなければならない。
さらに、大量の降雨で路面の摩擦が弱くなっている。
教習所でいうところの「雨天時の制動距離増加」というやつだ。

アクセルを踏む・・・追突の危険
ブレーキを踏む・・・追突される危険
止まる・・・14へ行け

メーターを読むと、時速は95キロ。
加速も減速もできない。集中力を欠くと、一瞬で10キロ前後は変わってしまう。

オーディオの音量を上げて気を紛らわそうとしても、雨音がそれをかき消す。
激しい音楽ほどドンシャリで聴き取りづらい。
リフどころかバスドラすら聴こえず、スネアだけがたまーに聴こえる程度。

このツアーで一番はじめに学んだことは
「台風の中で、同音量時、メガデスよりもカーペンターズとかELPの方がよく聴こえる」
だった。是非参考にして欲しい。

いずれにせよ状況は変わらないけど。

続く