NovelJam2018回顧録⑧『アートその2』

去年に引き続いて参加となったNovelJam2018についての回顧録その8となります。

さて、ぼくにくの絵画は、ほぼ完成。
あとは乾きを見ながら、適切に足し算引き算をこなすだけ。

ここで編集「ふじいそう」さん、より『ツイハイ(まだ名はない)』の表紙絵オーダーが入ります。

「白バック。twitterアイコンを不穏な色で」

うん。うん? ふおん。画像検索すると、赤紫系のシーンがヒットします。
なるほど、ヒトは赤紫に不穏を感じるのか。
と、レイアウトを定めます。

アイコン。
パレットの側面を利用して、鉛筆でキレイな線を引きます。
ステロタイプかつ無難なアイコンのアウトラインを形成して思いました。

つまんないし、デジタルでやったほうがはるかにアイコンを速く・正しく表現できる。
腕組みをして逡巡します。
それに追従するのは悪手。
なにも起こらない。

エゴを突き通して、油絵で顕すことにしました(ごめんなさい)
ゆるぎない直線と、いい感じの曲線で構成された下絵は、つまんない。
シャープで機能的にアプリを表現できるアイコン。つまんない。
クイックドライのホワイトをテレピンで融き、ブラシで全体を地塗り。
ぼくにくで得た知見を元に、その乾きのタイミングで描画。
といった次第で、フリーハンドでランプブラックを鉛筆の線に重ねます。

重力に従ってブラックは下に垂れ流れていきます。
線が乱れます。それを放置します。
『不穏』。言葉のイメージに近しい光景が「今」目の前で起こっています。

よし、これでいいか。
アウトラインを形成していくと、どんどんシャープな直線や、いい感じの曲線が乱れます。
よっし! ヴァーミリオンとプルシャンブルーで赤紫を混色。
キャンバスに塗り込みます。
アイコンのフォント(?)を形成しながら、同じくヴァーミリオンとレモンイエローを混ぜて、
アイコンを形成します。

ん? なんかイメージと違ってきたな。
それもそのはず、ヴァーミリオン(赤)の引力で、補色ではなく、近似の色合いに近づいてしまい、対比が弱くなっていたのでした。

色彩検定1.5級(1級の2次落ちで2級は持っている)の身としては色彩はイメージ通りに手繰らねばならない。
そんな思いをもって、補色に近づけるべく溶かないブルーとイエローで、ヴァーミリオン要素を上塗りします。

ここでよい感じのグラデーションが生まれます。
地塗り要素に近いヴァーミリオンの色味にプルシャンブルーやレモンイエローを乗っけることで、絵画に味わいが生まれます。

偶然? いや必然です。自身の思うイメージに近づけながら絵筆を進めると、ほどよく絵が崩れます。
でも、崩れすぎても伝わらない。
脳内イメージは、脳内イメージ通りに形を成します。

一息ついて、初めに塗ったテレピン多めのホワイト地に指をのせると、すでに乾いていました。
ぼくにく以上に厚塗りしたアイコンは絶対に乾いていないので、一歩下がって鑑賞するのみ。

あれっ? イメージ以上にツイハイ(まだ名はない)っぽい。これでいいか、と思いました。
この絵画で最も気を使ったのは「白く塗ったバックを汚さないこと」でした。

※ 去年の回顧録はKindleなどで無料配信中ですので、ご参考までにご覧ください。

⇒ 『NovelJam2017 回顧録』

つづく